ヴェールの向こうに

蝶が彼の耳にとまった夢を見た。
無数のシャボン玉が夜空に飛んでいく夢をみた。
何かとてもきれいだったものの夢をみた。

メモをしようと机にペンをとりに行ったら
それがなんだったのか忘れてしまった。

夢と目覚めの狭間で心を奪われるような感覚。
柔らかな光が壁に揺らめき、一瞬だけヴェールが
あがるように覗ける世界。

夢から覚める瞬間の曖昧な情景や、
届きそうで届かない輝きを形に留めたもの。
消えゆく美しさを掬い上げ、手を伸ばし虹に願いを込めた。

しかし、目覚めた後に残るのは、わずかな残響だけ。

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